(英エコノミスト誌 2024年10月5日号)

上海証券取引所と中国金融先物取引所(2月26日撮影、写真:CFoto/アフロ)

株の「爆買い」は続くのか?

 中国の個人投資家が物事を自分の思い通りにすることができたら、10月7日まで続く国慶節の7連休を見合わせただろう。

 中国政府が9月24日に発表した積極的な景気刺激策が株価を急騰させ、1週間の上げ幅としては15年以上なかった記録的な高騰になったからだ。

 主要な株価指数が25%を超える伸びを示し、上海証券取引所では買い注文の多さにシステムが不具合を起こすほどだった。

 市場が丸々1週間閉じられてしまう大型連休に、ネチズンたちは不安を覚えていた。

「俺たちはトレーディングを続けなければいけない。国慶節はキャンセルしなければならない」

 ある若い投資家はソーシャルメディアの「微信(ウィーチャット)」で広く共有されている動画でそう叫んだ。

遅まきながら打ち出された大規模刺激策

 当局トップが明らかにした景気刺激策には、政策金利の引き下げ、住宅ローン金利の引き下げ、そして総額8000億人民元(約16兆9000億円)を投じる株式市場支援などが盛り込まれていた。

 この2日後に開催された中央政治局会議――中国の最上級幹部24人で構成する会議――では、近年繰り返されてきた受動的で冗漫な言葉ではなく、「行動第一」のようなフレーズで方針が徹底された。

 9月29日に開かれた別の高級幹部会議では、李強首相が緩和策の実行ペースの加速を約束した。

 消費者への補助金と地方政府の借り換えのために約2兆人民元を財政から支出し、銀行の資本注入にも1兆人民元を使う策が報じられたが、正式には発表されていない。

 この待望久しい救済策の効果と規模については活発な議論が巻き起こった。

 だが、国内外の投資家の意見が一致する点が1つある。

 中国の最高指導者である習近平国家主席が、中国経済を苦しめている深刻な問題にようやく思い至り、これを是正するべくアプローチの仕方を変えた、というのがそれだ。