(渡辺 喜美:元金融担当相、元みんなの党代表)
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高学歴・「愛される」路線ばかりで大丈夫か?
恐れられるのと愛されるのとどちらが良いか。恐れられる方がはるかに安全である。(マキアヴェリ「君主論」)
自民党総裁候補者の中で国民に「恐れられる」路線をとっている人はいない。最近とみにきな臭くなってきている日本周辺でロシア、中国、北朝鮮の独裁者は人民から恐れられている人ばかり。中野信子さん風に言えば「サイコパス人格」だらけなのだ。大丈夫か〜。
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「愛される」路線の9人は総じて高学歴である。アメリカ留学・勤務経験者が7人。茂木敏充幹事長、林芳正官房長官、上川陽子外務大臣、小林鷹之元経済安保担当大臣はハーバード大学ケネディ・スクール(公共政策大学院)修了。河野太郎デジタル担当大臣はジョージタウン大学卒業。小泉進次郎元環境大臣はコロンビア大学大学院修士。
高市早苗経済安保担当大臣は米下院民主党議員の個人事務所スタッフ。まるでドメスティック(国内派)の残り2人も、加藤勝信元厚労大臣は東大経済学部から大蔵省。石破茂元幹事長は慶大法学部時代に助手の誘いのあった秀才である。
新しく立憲民主党代表になった野田佳彦元総理が選挙の争点化を狙って批判する「世襲議員」は5人。ただ、親の「三バン」(地盤・看板・鞄)をすんなり受け継いだのは、小泉氏だけで、林氏や河野氏は地盤の一部。石破氏や加藤氏は親の時代と途切れており、結構苦労して初当選している。
各候補の推薦人は支持基盤を現す。高市氏は安倍派14人(裏金組13人)、小林氏は「魔の4回生」はじめ若手議員が大半。小泉氏や石破氏は無派閥が過半を占め、林・河野・茂木氏は出身派閥が非常に多い。上川氏は女性議員や静岡関係、加藤氏は厚労省・岡山関係が多い。
立憲民主党が野田代表となって石破茂氏が総理になると、似たもの同志で攻める方は苦労するだろう。どっちも財政規律・金融引き締め、女系天皇容認、夫婦別姓と変わらない。対立軸が鮮明になるのは小泉進次郎氏だ。ライドシェアや解雇規制緩和、世襲など標的満載だ。能登の大雨災害も含めた補正予算を組まずに即解散すると大苦戦となるだろう。