維新にも大逆風

 その中で、斎藤知事と同じくらい苦しい立場に置かれそうなのが維新系議員だ。斎藤知事は知事選の際に自民党の一部と日本維新の会の推薦を得て出馬・当選したのだが、選挙期間も知事となってからも維新の吉村洋文・大阪府知事との近い関係をアピールしてきた。

2023年9月、大阪・関西万博への対応などを話し合うため連携会議を開いた大阪の吉村洋文知事と兵庫の斎藤元彦知事(写真:共同通信社)
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 県議会でも維新系の議員は、まるで知事を擁護するかの如く、知事のパワハラ疑惑・おねだり疑惑などを内部告発した西播磨県民局長の“追及”の先頭に立ってきた。

 こうしたことから、斎藤知事は「維新系」と見られてきた。ところが元県民局長の自殺をきっかけに知事が批判の集中砲火を浴び、維新にも厳しい目が向けられるようになると、維新は斎藤知事と距離を置くようになる。9月7日、大阪府の吉村知事が電話で斎藤知事に辞任して出直し選挙に臨むよう求めたが、斎藤知事はこれを拒否。さらに9日には兵庫県議会の維新の会が斎藤知事に辞職を申し入れたが、知事は続投の意思を表明した。

 こうした行動はあったが、維新への逆風は収まる気配はない。そのムードは兵庫県議会だけでなく、国政の場にも広がっている。

 現在、自民党総裁選が行われているが、新総裁の下ですぐさま解散・総選挙ということになれば、維新の候補がかなりの苦戦を強いられるのは必至だ。だからこそ、冒頭のA氏は、不謹慎なようだが、できるだけ斎藤知事が我を通し、維新への批判をさらに増幅させてくれることを願っている。

 斎藤知事の動向は今や国政にも影響を及ぼし始めている。果たして19日、どのような決断をするのか。政界関係者は固唾をのんで見守っている。