石破氏の金融所得課税強化はNISA拡充とセットか

 9月下旬に予定されている自民党総裁選については、正直、マーケットへの影響を懸念する声はあまり聞かれません。強いて言えば、高市早苗氏は安倍晋三元首相の路線を引き継ぎ財政拡大を進めるとみられており、利上げには否定的だろうとの見方があります。

自民総裁選に立候補した(右から左へ、上段から下段へ)高市早苗、小林鷹之、林芳正、小泉進次郎、上川陽子、加藤勝信、河野太郎、石破茂、茂木敏充の9氏。誰が総裁になるか、マーケットの関心は薄い(写真:共同通信社)
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 他方、石破茂氏は富裕層に対する金融所得課税を強化するといった発言で注目を集めました。これはそもそも新NISA導入の頃から議論の俎上に上がっていたテーマではないかと推測しています。

 富裕層に対する金融所得課税を強化するのなら、おそらく、NISAの非課税枠の拡大とセットになるのではないでしょうか。そうすれば、NISA以外での投資が圧倒的に多い富裕層への課税を強化しつつ、非課税枠内の投資でこと足りる一般の個人投資家はさらなる恩恵を受けることができます。

 マーケットが大きく反応するのは、想定外の事態です。この先イベントが続くということは、それだけ想定外の事態が起きる可能性が高いということです。足元では落ち着きを取り戻しているマーケットも神経質にはなっており、何かあれば日経平均が「二番底」に陥ることは十分にあり得ると思います。

 もし、そうなったときは、8月初めの大暴落で学んだ教訓を思い出してください。決して、あせって資産を投げ売りするようなことはしないことです。長期投資の観点でいえば、今こそ「買い」のタイミングと受け止め、落ち着いて地道に積立投資を続けることが大切です。

 まずは、来週の日米の金融政策決定会合に注目です。

中野 晴啓(なかの・はるひろ) なかのアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
1987年、明治大学商学部卒業。セゾングループの金融子会社にて債券ポートフォリオを中心に資金運用業務に従事した後、2006年セゾン投信株式会社を設立。2007年4月代表取締役社長、2020年6月代表取締役会長CEOに就任し、 2023年6月に退任。9月1日、なかのアセットマネジメント設立。全国各地で講演やセミナーを行い、社会を元気にする活動とともに、積み立てによる資産形成を広く説き「つみたて王子」と呼ばれる。近著に『新NISAはこの9本から選びなさい』『1冊でまるわかり 50歳からの新NISA活用法』(写真:村田和聡)