業績の下方修正が相次ぎ株価には短期的にはマイナス

 まず、為替レートを1ドル140円半ばで想定している企業が多いので、140円を割り込むような展開が続くと業績予想の下方修正が相次ぎ、短期的には株価にはマイナスです。

 一方、米国の利下げは景気を刺激することが期待されるため、米国株にはプラスに作用する可能性があります。実際、市場関係者からは利下げの効果がこれから出てくるため、実体経済が大幅に悪化すると悲観する声はあまり聞かれません。むしろ、これからは悪い経済指標が発表されるたびに、追加利下げなどの金融政策が追い風となるとの思惑から、株価が上昇していく可能性もあります。

 日本株も米国株の動きの影響を大きく受けるので、この流れは決して悪いものではありません。円高で業績が悪化する日本企業もありますが、逆に浮かび上がる企業もあります。日本株相場をリードする企業が変わってくると思います。

 大きなサプライズがあるとすれば、やはり日銀が今回のタイミングで追加利上げをすることでしょう。マーケットはまったく織り込んでいないので、それはかなりの想定外です。そうなると、日本株が「二番底」に陥る可能性は極めて高くなります。

 また、日銀は金融政策正常化に鑑みれば、いざというときに利下げカードを切れる程度の政策金利水準を望んでいるはずですから追加利上げをしなくても、植田総裁の発言には要注意です。

米大統領選も波乱要因(写真:AP/アフロ)

 11月の米大統領選も波乱要因です。トランプ氏、ハリス氏のどちらが勝利するかが見通せないだけではなく、政策もはっきり見えていないので、マーケットに与える影響も測りかねています。この先、勝負の行方や政策の解像度が上がってくるにつれて、何らかの想定外のことが起きればマーケットが大きく反応する可能性もあります。

 その1つが、やはりトランプ氏の保護主義政策でしょう。トランプ氏が大統領になり、何らかの形でドル安(円高)誘導をかけるようなことがあれば、円高が一気に進むかもしれません。