中国国防部の報道局長が、公式の会見で、ゲームの名前を出して回答するなど、前代未聞である。加えて記者たちは、いま自分たちがハマっている『黒神話:悟空』に、もしかしたら呉報道局長もハマっているのではと、想像をたくましくしたのではないか。

『黒神話:悟空』を開発した杭州遊科互動科技(Game Science)の公式サイトより

 それほど現在、『黒神話:悟空』が中国全土を席捲している。中国人は知人と会うと、「你好!」(ニーハオ)と挨拶するが、この頃はその後に、「玩兒了嗎?」(もう遊んだ?)とつけ加える。『黒神話:悟空』のことだ。

リリース4日目には1000万本突破

 このゲームは、浙江省の杭州遊科互動科技(Game Science)が開発し、8月20日にダウンロード開始となった。258元(約5200円)の有料ゲームだが、開始4日で1000万ダウンロードを超えるなど、記録的なヒットとなっている。9月5日現在、1700万ダウンロードを超えた。

 孫悟空は、言わずと知れた中国4大古典文学の一つ『西遊記』で、天空を旅する主人公だ。ゲームの公式説明書にはこう記されている。

<『黒神話:悟空』は、中国の神話を背景としたアクション色溢れるゲームである。あなたも一人の「天命人」になって、過去の伝説の真相を究明するため、危険に満ち溢れたゾクゾクする西遊の道を踏み出す。

 このゲームは『西遊記』を背景とし、「悟空」を物語の主人公とした、プレイヤーの心を東方の魔幻の世界に引き留めるものだ。PC及びあらゆる主要なプラットフォームでダウンロードでき、ゲームをスムーズに実行できるクラウドゲームのプラットフォームも排除されない。

 ゲームの設定では、もちろん猿が主人公だが、猿だけの話ではない。本作は、それぞれの主要な主人公を再構築したことに加えて、トップクラスのグラフィックス、豊富なディテール、臨場感溢れる戦場体験、満ち足りたプロット解釈を行っている。それによって、われわれの心の中に常に存在していた東洋の魔幻の世界を入り込み、東洋の味わい深い英雄叙事詩の世界を描いている……>