ここは、ランスの南約25kmにあるエペルネーという町です。葡萄畑が目に入ったので、個人の家の畑かな、と足を止めたら、「ウォ!」と低く太い音が短く聞こえました。見上げると大きな犬と目が合いました。

 ユーラシアという犬種で、名前はヴォルコ。ベルギー生まれだそうです。「この犬は、興味のある人をデロデロに舐めるから近づかない方がいい。いまそんな顔をしている」と忠告を受けたので、一歩下がりました。

「素敵な葡萄畑が広がっていますが、ワインを作っているのですか?」と聞くと、「自家用としてだいたい1年分が作れる広さで、発泡白ワインのほかにブランデーも作るよ」とのことでした。

 畑を見たいでしょうと案内してくれたところに、厳しい顔つきの猫がいました。名前はエプシ。葡萄畑のガードマンです。犬のヴォルコは人間に対する警備、猫のエプシは鳥や虫などの対応係だそうです。