必要なのは「ちゃんと失敗させるシステム」

 筆者はあとがきで、以下のように記している。

人を育てるにあたって必要なのは「ちゃんと失敗させるシステム」ではないだろうか

 失敗を恐れて何も部下にまかせなければ、部下が成長する機会を奪うことにもなりかねない。また、部下が失敗をした時に上手く導かねば、次からの失敗を恐れて部下は自ら行動を起こさなくなるだろう。

 まかせて、待って、考え抜き、実行するプロセスを大事にする。そうして導き出した結果は、成功でも失敗でも大きな学びになるのだ。森林監督の導き方は、「人を育てる」ことの真髄なのかもしれない。

慶應高校野球部 「まかせる力」が人を育てる』(加藤弘士著、新潮新書)