教育経済学的に正しい「ご褒美」の設計

 過去の研究蓄積をみる限り、「ご褒美」の設計を正しく行えば、「一生懸命勉強するのが楽しい」という気持ちを失わせることなく、かつ貯蓄することの大切さを学ばせつつ、学力を向上させられるはずです。どのような「ご褒美」の設計が効果的なのか、あらためてまとめてみましょう。次のうち有効なのはどちらでしょうか。

「1時間勉強したら、勉強が終わった後にお小遣いをあげるよ」

「テストでよい点を取ったら、お誕生日にお小遣いをあげるよ」

 これは同じようにみえて、まったく異なる2つの作戦です。前者は、「1時間勉強する」というインプットに「お金」というご褒美を、勉強が終わった「すぐ後」に与えるというものです。一方、後者は「テストでよい点を取ったら」というアウトプットに対して、今すぐではなく少し先の「お誕生日」にご褒美を与えます。ここまで示されたエビデンスによると、おそらく功を奏するのは、アウトプットではなくインプットに対して、遠い将来ではなく近い将来にご褒美を与える前者のはずです。