パリオリンピックでアーチェリー男子団体で金メダルを獲得した韓国の選手たち(Yonhap News Agency/共同通信イメージズ)
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「冷ややかに傍観」から一転、「熱狂」へ

 7月26日から文化と芸術の都パリで開かれている夏季オリンピック。「金メダル5個、総合成績15位」という控えめな目標を掲げていた韓国だったが、期せずして、大会3日目にして目標としていた「金メダル5個」を取ってしまった。そのため、当初は冷めた目でパリオリンピックを眺めていた韓国国民の代表選手たちへの関心と期待がにわかに高まっているのだ。

 韓国は人気の高い球技種目が相次いで予選落ちしたせいで、パリオリンピック熱は高まらなかった。韓国人に最も愛されているスポーツはサッカーと野球なのだが、パリオリンピックの正式種目から外された野球はともかく、40年間も五輪本選に出場してきた国民的スポーツのサッカーの予選落ちは、韓国国民を絶望の淵に沈ませた。

(参考)【パリ五輪】サッカー、バレー、バスケ…人気種目で軒並み予選落ち、韓国スポーツはなぜこれほど日本と差が開いた(JBpress 2024.7.23)

 またパリオリンピックに参加する種目でも、事前に注目されている“スター選手”がいなかったことで、オリンピック直前の世論調査では韓国人の4割ほどが「オリンピックに興味がない」と回答していた。

 過去には「オリンピック特需」という言葉が使われるほど溢れかえった企業によるオリンピックタイアップや広報物も今回はほとんど見られなかった。韓国人から「歴代最低」の悪評を浴びた東京オリンピックの際にでも、韓国代表チームの公式スポンサーは約70社もあったのだが、パリオリンピックでは「例年と違って、韓国選手団に向けた企業後援がほとんどない」と大韓体育会(韓国の国家オリンピック委員会)が訴えなければならないほど企業からもそっぽを向かれた状態だった。

 ムードはなかなか盛り上がらず、時差問題まで重なった結果、パリオリンピック開幕式の中継視聴率は韓国の地上波3局を合わせても3.0%という歴代最悪を記録した。韓国と同じ時差の日本は10%を超える視聴率を記録したことを見れば、日韓間で今回のオリンピックにかける期待と関心に大きな差があったことが分かるだろう。