- トランプ氏の暗殺未遂事件が韓国を揺るがしている。「もしトラ」が一段と現実味を帯び、韓国内で核武装論が盛り上がっている。
- かつてトランプ氏は、韓国の核武装を容認する可能性をほのめかしていたからだ。さらに、北朝鮮がロシアと事実上の軍事同盟を結んだことで、朝鮮半島有事への危機感が高まっている。
- 韓国の核武装論は日本にとっても他人事ではなく、動向を注視する必要がある。
(平井 敏晴:韓国・漢陽女子大学助教授)
韓国で核武装論が、ここへきてにわかに脚光を浴びている。
自国の核武装については賛否両論があり、これまで何度も話題になってきた。だが、アメリカからの圧力や文在寅(ムン・ジェイン)大統領による親北政策により、現実味のない話とされてきた。
ところが、その風向きが変わってきた。議論が活発化しているのだ。
核武装論が韓国で根を下ろしてきたのは、朝鮮半島有事において、核武装こそが北朝鮮と接する自国が生きる道だという意見があるからだ。
そのような韓国社会にとって、6月16日に北朝鮮とロシアが締結した新たな同盟は衝撃的だった。7月6日付の週刊東亜が報じているように、露北両国が有事における軍事介入条項を明示した「事実上の軍事同盟」であるからだ。こうなると、ウクライナ戦争を展開しているロシアが、北朝鮮に先端武器を生産させ、技術支援を行うかもしれない。
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韓国政府にとっては予想外だった。ロシアに対して中立的な態度をとっていれば、ロシアもそうそう北朝鮮との関係強化に舵を切ることはないだろうと踏んでいたからだ。米国もこの事態に対して、「東西冷戦終結後に訪れた最大の危機」との懸念を示している*1。