【入笠山(標高1955m/長野県)】

 標高が2000m近いが、麓からゴンドラを利用できるので総歩行時間は2時間半から3時間ほど。初心者にもピッタリのトレッキングコースだ。

 麓からゴンドラに乗ると一気に標高1780mの山頂駅まで運んでくれる。ここから10分も歩けば花の宝庫・入笠湿原だ。6月ごろに咲くスズランの大群生が有名だが、春から秋にかけコナシ、クリンソウ、レンゲツツジ、クルマユリ、ハクサンフウロ、ヤナギランなど100種類以上の山野草が展開するお花畑となる。花好きにはたまらないスポットだ。

 お花畑からは1時間ほど歩けば山頂だ。とりたてて険しい所もなく、マイペースで進みたい。山頂からの眺望はすばらしい。八ヶ岳、富士山から南アルプス、中央アルプス、そして遠くは北アルプスまで深田久弥の『日本百名山』のうち22座を確認できるという。空気が澄んでいる午前中の時間帯に訪れたい。

入笠山山頂入笠山山頂(筆者撮影)

 麓の富士見町は堀辰雄の名作『風立ちぬ』の舞台となった八ヶ岳山麓の「Fサナトリウム」があった場所。昭和の時代に多くの著名人が療養に訪れたサナトリウムは、現在「旧富士見高原療養所資料館」となっている。山からの帰り道に立ち寄ってみるのもいいかもしれない。

【霧ヶ峰(標高1925m=車山/長野県)】

 夏になるとニッコウキスゲの黄色い花が咲き誇る大草原が広がる霧ヶ峰には、登山というよりもトレッキング、ハイキングという言葉がしっくりくる。深田久弥は「山には登る山と遊ぶ山がある」としたうえで、霧ヶ峰は遊ぶ山の典型として、こう述している。

〈気持ちのいい場所があれば寝ころんで雲を眺め、わざと脇道へ入って迷ったりもする。当然それは豊かな地の起伏と広濶な展望を持った高原上の山であらねばならない。霧が峰はその代表的なものの一つである〉

 10月27日まで中央本線の上諏訪駅からアルピコ交通がバスを運行中。朝9時35分のバスに乗れば10時29分に「霧ヶ峰インターチェンジ」に着く。ここから車山肩に向けて高原の道をのんびりと歩きたい。やがて緑の丘陵のかなたに南アルプスの稜線が見えてくる。そして、その先には秀麗な富士山が姿をあらわしてくれる。

霧ヶ峰からの富士山霧ヶ峰からの富士山(筆者撮影)

 車山肩に着いたら山荘「ころぼっくるひゅって」に立ち寄りたい。サイフォンで出してくれるコーヒーを味わいながら、大草原と周囲の山々の景色を思う存分堪能しよう。