「地獄絵図」戦略は日本にも必要

 前掲図で示す通り、米西海岸のロングビーチから横須賀までの海上輸送には、12日、約2週間の航海が必要である。

 したがって、わが国の防衛を考える場合、米軍の本格来援・軍事介入は、台湾有事と同様、早くても侵攻開始から概ね1か月後と想定し、その間、十分に自衛できる防衛力を保持し、それに見合う防衛計画を作成しておかなければならない。

 その際、ウクライナ戦争における無人機の広範な有用性と戦場での影響力は際立っており、「無人機とAIを使った戦闘が、次の戦争の姿になる」と見て間違いなかろう。

 そのため、わが国も、米国防省の「レプリケーター」構想を参考に、民間企業と連携して革新的技術を迅速かつ積極的に導入し、「小型で、精密で、安価で、大量に、生産できる無人機・自律型兵器システム」を開発・装備する体制を整えることは喫緊の課題である。

 その上で、インド太平洋軍の「地獄絵図」戦略に倣い、陸・海・空のあらゆる空間に無人機・自律型兵器システムを配備して、中国の最大の強みである量的優位性を克服する非対称戦を追求することは、日本防衛にとっても避けては通れない戦略的優先事項である。