5.ロシアの中途半端な攻勢後に来るもの

 ロシアは、多くの戦力をすり潰してきた。

 約50万の兵、7600両の戦車、1万5000両の装甲戦闘車、1万3000門の火砲類が破壊されている。

 最近では、使える戦車や装甲歩兵戦闘車も減少してきている。

 米国によるウクライナへの軍事緊急支援が4月26日に決定され、米国務長官は、ロシア領内への攻撃については奨励してはいないとの米政府の立場を示したものの、その上で「この戦争の遂行方法は最終的にウクライナが決めることだ」とも付け加えた。

 つまり、「供与した武器をどこに使おうが、ウクライナの判断による」と言及したものとみられる。

 これからは、ロシア軍の継戦能力を削ぐために射程300キロのATACMS(Army Tactical Missile System=陸軍戦術ミサイルシステム)で、クリミア半島やウクライナに隣接する地域の空軍・海軍基地、弾薬庫、石油施設を徹底的に潰しにかかる。

 長射程精密誘導ロケットや砲で、前線で攻撃してくるロシア軍の砲兵陣地や兵站施設を叩く。

 地上軍攻撃兵器が減少しているロシア軍の疲弊は目に見えてきている。

 キーウを制圧し、ドニエプル川東岸に到達できるだけの本格的な攻勢作戦を実施する戦力はもうないようだ。

 もしできても小さな局地的な地域だけだろう。

 ウクライナ軍の今後の反攻については、ウクライナの兵員の増加にもよるが、クリミアへの上陸侵攻が可能かどうかが、注目されるところである。