4.ロシアには困難な突破追求の概念がない

 ロシアは、攻撃目標達成にあと一歩か二歩というところで、大きな抵抗を受けたり、あるいは自軍に問題が生じたりすると、後退するか、または敵の新たな弱点を求めて、攻撃正面を変える戦闘を行う。

 本来の目的を変えるという決心が速いようだ。

 当初は巨大な軍事力を持っていた。それを重要な地域に、最大限に投入することなく戦ってきた。

 つまり、突破の形成、突破口の拡大、戦果拡張という概念、すなわち困難であってもあらゆる戦力を一点に集めて敵を突き破るという「突破攻撃」成功の概念(下図参照)がないのかもしれない。

 攻撃してみて、早い段階でダメであれば、それをいったんやめて別の方策を追い求めるやり方を追求しているようだ。

突破攻撃成功の概念

左:突破口形成までで突破未達成 右:突破口拡大で突破成功、出典:筆者作成