「タオルで熱波を仰ぐの、やめろよ」

 この人はサウナで熱波に仰がれて具合を悪くし、一度は歩いてサウナから出た後の帰路で倒れて救急搬送。ひどい頭痛がしたのに歩いて帰ろうとした猛者は脳内出血だったそうですが、何とか意識も回復して元気にしてます。

 病状からの快復が早かったのはいいんですが、懲りずに「またサウナ行きたいですね」とかほざいてて静かに寝てろと見舞い中に思いました。どういう気持ちで洋菓子もって病室行ったと思ってるんだよ。もう別の意味で病気じゃねえか。死ぬからやめろよと。

 病室で乳児を抱っこした奥さんが泣いてるんです。可哀想すぎて、こっちが泣きそうになったわ。

 かくいう私は、頭の血管に持病を持っているので、血圧が大きく上がったままになるようなサウナなんかは禁忌中の禁忌です。長くいたら他の人よりリスク高い、っていうか死んじゃう。サウナには絶対入らない。

 だから逆に私が分かるのは、「あっ、サウナってのは健康にいいんじゃなくて、健康度が有り余ってる連中が他所で暴れるよりはサウナでヒットポイント削ったほうが世の中的にも本人的にも健全ってことなんだな」という話です。

 それもあって、サウナに入り浸る人たちの気持ちなんてこれっぽっちも分からんのです。

 ……が、子どもの水泳スクールついでに水中ウォーキングした後、プールに併設している採暖室に少し入ってると、おっさんがやってきて「なんだよこのサウナ。ぬるいじゃないか」などと言い放つんです。もうブチ切れですね。もう毒され切っている。犯されているんですよ、熱いサウナとやらに。

 しまいにはタオルで熱波を送ろうと仰ぎ始める。やめろよ。