「Choose Your Life」を旗印に10代、20代向けのキャリア支援を展開しているハッシャダイソーシャル。設立当初は、代表理事を務める勝山恵一と三浦宗一郎が体一つで全国の学校や施設を回っていたが、最近では社会課題に関心を持つ同世代の仲間や教育現場の教職員、そして二人に影響を受けた10代、20代の若者がその輪に加わるなど、その活動は大きなうねりになりつつある。
なぜ人々は二人の下に集まるのか。なぜ10代、20代の若者は彼らの言葉に耳を傾けるのか──。京都の不良と自動車工場の元工員、その仲間たちが巻き起こしている「挑戦」の記録(第6話)。
(篠原 匡:編集者・ジャーナリスト、蛙企画代表)
株式会社ハッシャダイの一員となった三浦宗一郎だったが、三浦はインターン生にプログラミングを教える「ハッカーコース」の立ち上げと参加者のメンターを担当していたため、ヤンキーインターンのモデルとなった勝山恵一と一緒に仕事をする機会はなかった。
そんな二人がコンビを組むようになったのは、2018年8月ごろ。実は、二人は高校などを回る講演活動をそれぞれ別に始めており、それを知った二人が活動を一つにまとめることにしたのだ。
三浦は旧知の高校教師に依頼されたことをきっかけに、地元・豊田市の高校で「生き方講座」という授業を定期的に開いていた。自分の過去の話を軸に、「将来に希望を持つことがいかに重要か」「そのためにどう考えるべきか」ということを話す講義である。
一方の勝山も、ヤンキーインターンを必要としている若者にその存在を直接伝えるために全国の学校を回っていた。
そのきっかけはほんの偶然だった。
学校を回るようになる1年ほど前、ハッシャダイのウェブサイトに長文のメールが来た。ヤンキーインターンやハッシャダイが唱えている選択格差の解消に共感したうえで、それを実現するためには別軸の活動が必要なのではないかという提案である。
送り主は当時、東京大学医学部の1年生だった西尾萌波。現役東大生からのメールに社内は騒然となった。