この群馬県と長野県にまたがる神流川発電所の主要施設(2県2水系)は、建設中の写真を見ると臨場感が増す。最も高地に位置する南相木ダム(上部調整池、ロックフィルダム)、中間地点の地下発電所(写真4)、そして最下部の上野ダム(下部調整池、重力式ダム)(写真5)にて構成される。

写真4 神流川発電所:稼働間近の地下発電所。発電機が設置されている(画像提供:東京電力リニューアブルパワー)
写真5 神流川発電所:下部調整池/上野ダム(重力式ダム)(画像提供:東京電力リニューアブルパワー)

 このうち、深度約500mに構築された地下発電所は、発電・変電施設を収めるため、高さ52m×幅33m×長さ216mの大規模空洞となっている。建設に際しては、最先端の岩盤力学(rock mechanics)が応用され、それまでの経験知とも併せた計画・設計がなされた。

 とくに、空洞の断面形状が重要であるが、非常に高い地圧下において力学的な安定を図るために、従来の“きのこ形”に代わり“卵形”が採用された(写真6)。

写真6 神流川発電所:掘削中の地下発電所(画像提供:東京電力リニューアブルパワー)