「国際女性デー」を祝日する国が急増、LGBTQ+は?

 祝日には、その国の歴史や特性がにじみ出ています。建国や国王に関する記念日、戦勝記念日などを祝日とするのは端的な事例ですが、ここでは比較的新しい「人権」をもとにした祝日を見てみましょう。

 厳しい人種隔離政策(アパルトヘイト)を克服した南アフリカ共和国では「人権の日」(3月21日)や「自由の日」(4月27日)が祝日です。1994年12 月16日にアパルトヘイトが公式に廃止されると、その日は白人と有色人種の「和解の日」として祝日になり、毎年のカレンダーに刻み込まれることになりました。

 3月9日の「国際女性デー」を祝日とする国も増えてきました。1977年に国連総会で「国際女性デー」の制定が決議されると、女性の権利向上に向けた取り組みが次第に各国に広がり、2000年代に入って本格化するようになりました。それに伴い、この日を祝日とする国も急増。アゼルバイジャンやカザフスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、カンボジア、ウガンダ、モンゴルなど約30カ国が祝日としました。

 その国の先住民・少数民族に由来する祝日もあります。ニュージーランドでは、6月28日は「マタリキ」。先住民マオリ族の言葉で「プレアデス星団」(日本名「すばる」)を意味します。この星団が明け方に東の空で輝く季節となると、マオリ族は新年を迎えていました。祝日「マタリキ」は、今ではマオリ族の独自文化を尊重する日として親しまれています。

 そうした一方、LGBTQ+を公式に祝日として制定した国は、まだないようです。LGBTQ+の人たちの権利向上はどの国もまだ途上。これに関する祝日が制定されていくのは、これからのことかもしれません。

 日本にはゴールデンウィーク中にも休めない人がたくさんいます。国の祝日は少ないけれども、数週間に及ぶ連続休暇・バカンスの取得が当たり前の欧州諸国とも大きく異なり、夏休みや有給休暇をほとんど取得できない人は少なくありません。年間16日という日本の祝日数は、日数だけの比較では多い方ですが、多くの人にとっては「もっと休みを」が本音ではないでしょうか。

フロントラインプレス
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