「第一首都圏トンネル北品川工区」を検証

 一方で回転する刃が先端に取り付けられたシールドマシンという円形の機械でトンネルの全断面を掘削する地下トンネルの進捗状況は比較的把握しやすい。掘削距離を完成した距離と見なしてほぼ差し支えないからだ。実際には掘削完了後、線路を敷設するほか、電気工事などの仕上げを行う。掘削後から1年で開業は少々せわしいが不可能ではない。2年あれば余裕があると言ってよいだろう。

 リニア中央新幹線品川―名古屋間の完成時期を占う建設工事場所は実は起点の品川駅のすぐ近くにある。第一首都圏トンネル(延長36.924km)の最も品川駅寄りにある北品川工区だ。北品川工区は品川駅から約1.0kmのところにある北品川非常口を経て神奈川県川崎市中原区にある等々力非常口までの約9.2kmの工事場所である。

リニア中央新幹線の地下トンネルの工事現場=1月15日午後、川崎市(写真:共同通信社)

 途中、北品川非常口から約4.7km、等々力非常口から約3.5kmの地点に東雪谷非常口(東京都大田区)が設けられており、北品川工区では2機のシールドマシンを使用してトンネルを掘削していく。2基の具体的な担当場所は、北品川非常口から品川駅までの約1.0km、北品川非常口から等々力非常口までの約8.2kmである。

 いま挙げた2基のうち、北品川非常口から等々力非常口まで掘削を始めたシールドマシンは約124m掘り進んだところで止まったままだ。シールドマシンの設備を収める鋼製の筒の一部がカーブの区間で変形したため、修復と再発防止策を立てるために停止させたのだという。JR東海によると2024年春に再開となるというが、いまのところ発表されていない。

注:その後、JR東海が2024年4月30日に公表した「第一首都圏トンネル(北品川工区) シールド掘進工事(調査掘進)の進捗状況」によると、いま挙げたシールドマシンは4月8日に掘削を再開し、4月26日時点で北品川非常口から約130mの地点に達したという。