2025年度中にも後任の知事が許可?

 リニア中央新幹線が静岡県内を通る10.7kmの建設工事の認可は、新しい知事によって遅くとも2025年度中には認可されると筆者は予想する。なぜ認めるのかとよく問われるが、逆に建設工事を認めない合理的な理由を見いだせないからだ。

 それではリニア中央新幹線の品川駅と名古屋駅との間はいつ開業するのか。これは静岡県内の区間が未着工である限り、不明としか言いようがない。

試験走行を重ねているリニア中央新幹線の車両「L0系改良型」=2022年10月、山梨県都留市の山梨リニア実験センター(写真:共同通信社)

 延長285.6kmのリニア中央新幹線のうち、トンネルは256.6kmとほぼ9割を占める。開業の鍵を握るのもまさしくこれらトンネル群で、なかでも長さ10kmを超える長大なトンネルの完成時期を左右すると言ってよい。

 JR東海は多くのトンネルで建設工事の状況を公表しているが、特に山岳を通り抜けるトンネルで進捗状況をとらえるのはなかなか困難だ。一般に山岳トンネルというと、本坑といって列車が通過する大断面のトンネルの掘削が最も難しいように思われるのだが、実はそうではない。

 先進導坑といって、本坑を掘るに当たって地下水の湧出や地質の調査といった役割を担う小断面のトンネルの建設工事のほうがはるかに難しいからだ。本坑の掘削がなかなか進まないと苛立つ向きもあるが、注目すべきは先進導坑の進捗状況で、こちらさえ完成すれば、本坑の完成は大まかに言ってその約2年後、開業を迎えられるようになるのはそのまた約1年後となる。

 という次第で山岳トンネルの建設状況から完成時期を推測することは不可能に近い。JR東海が各トンネルの具体的な進捗状況を示してくれない限り、判断できないからである。