わたしは保守的な人間である。流行りものには、まず飛びつかない。服装や食や音楽や電化製品などに関しては、まるっきりの守旧派である。とくに向こうから勧誘されたりするとまず反発する。
だから隙あらば、アマゾンプライムに加入させようとするアマゾン側の見え見えの手管に、そうはいくかい、と峻拒していたのである。
わたしはアマゾンで本を買うが、プライム会員になると「送料がただになるよ」といわれても、買うのはマーケットプレイスが多いから関係ないとはねつけていた。新刊を買っても、送料はかかっていなかったのである。
ところがあるとき、新刊を買ったら、送料を500円とられたのである。そのとき、ああ我慢もここまでだな、と思った。
送料の有無でごちゃごちゃやっているより、月額600円のプライム会員になったほうがいっそすっきりすると思い、先月(2024年3月)にアマゾンプライムに加入したのである。それに、さすがにもう配信の時代だなと考えるほかはなかったからである。
こんな新作映画が見られるとは思わなかった
こうと決めると早い。早速Fire TV Stickを買い、受信のためのセットアップも完了した。
アマゾンプライムで初めて見た映画は、デンゼル・ワシントン主演の『イコライザー THE FINAL』(2003)である。まだDVDにもなっていない新作で、これが特価の100円で見られるとは思わなかった(通常、有料の作品は400~500円)。
映画の内容は、今回の敵はイタリアのマフィアである。期待したほどではなかったが、一応おもしろい。格闘シーンがすくないのが弱点だが、デンゼル・ワシントンも今年69歳。そりゃ無理だわ、と納得した。
しかしこんな新作映画が見られるとは思わなかった。こうなると現金なもので、一気にプライムにのめりこんでしまった。
無料で見放題の映画を探した。結果、韓国映画で文句なしの名作3作品を見つけてしまった。まだこんな傑作映画が残っていたのが驚きだ。
1つはチョン・ウソン(『私の頭の中の消しゴム』)主演の『無垢なる証人』(2019)である。ゆりやんレトリィバァに似た子役が演じる自閉症の少女の証言は正しいのか、をめぐる法廷映画である。すごい脚本だ。