2つ目は実話に材をとった『幼い依頼人』(2019)である。実話にもとづく映画で、監督はチャン・ギュソン。
見始めて、ああ児童虐待ものか、ちょっとつらいな、やめるかな、と思ったものの、少年少女の二人があまりも名演だったので、最後まで見た。虐待継母の役者がじつに憎たらしいが、これがまた名演でうまい。
3つ目は『提報者 ES細胞捏造事件』(2014)。監督はイム・スルレで、これも実話にもとづく物語である。ノーベル賞候補のイ・ギョンヨン博士が世界初のES細胞に成功したとする論文不正事件を描いたものだ。
あともう1つ、追加しておこう。
『マルモイ ことばあつめ』(2019)である。監督はオム・ユナで、主演は独特の風貌で喜劇からシリアスまでをこなすユ・ヘジンである。
朝鮮語が禁じられた日本統治時代、朝鮮語学会は“我らの言葉(ウリナリ)”の辞書(マルモイ)作りを進めた。日本が創始改名を強制し、朝鮮でいばりくさっていた時代の実話である。2名の朝鮮人が拷問死している。
全67.5時間を10日余りで一気に
次になにを見ようかと考えているときに、わたしが好きなマイクル・コナリーのボッシュ刑事シリーズが、たしかテレビドラマ化されていたはずだと思い出した。
調べてみると、「BOSCH」というタイトルであった。しかもアマゾンオリジナルなので、「シーズン7」(各10話)まであるが(他にも「ボッシュ:受け継がれるもの」としてさらに2シーズンがある)、全部無料だ。
ハリー・ボッシュはロサンゼルス市の刑事(LAPD)である。ところが俳優はタイタス・ウェリヴァーという風采の上がらない顔が下膨れの俳優で、がっかりである。60がらみの短髪の白髪で、短足でスタイルもよくなく魅力がない。じゃあどんな俳優がよかったのかというと、すぐには思い浮かばないのだが。
ところがそういう不満を超えて、ドラマが異常におもしろいのだ。全9シーズン、90エピソード(90話)。1話あたり約45分だから、全67.5時間。10日余りで一気に見てしまったのである。日本ではできないドラマだ。