億単位のカネを盗られて気づかないことがあり得るのか

 大谷は声明の中で、どのようにして水原氏が自らの口座に無断でアクセスし送金したのかについては少しも触れなかった。もちろん水原氏に関する盗難被害届を出すと表明しているCAA側の弁護士の意向を踏まえているのかもしれないが、玉虫色の感はどうしても拭えない。

 少なくとも450万ドルとされる巨額が自分の口座から消えていたにもかかわらず、この一件を水原氏から白状されるまでどうして気付かなかったのか。

 もしかしたら水原氏に対して信頼を置いていたからこそ、チーム関連など何らかの経費にかかわる一部の口座管理を全て任せていた可能性もあるだろう。とはいえ、仮にそうだったとしても結果的に大谷が気付かなかったことが、今回の一連の騒動もとい事件を引き起こす“土台作り”になってしまったことは否定できない。

 いずれにせよ、多額の金を「搾取された」という大谷陣営の主張がある以上、それを許してしまうような脆弱な金銭管理のセキュリティーであったことは否めないところだ。

 日本国内ではほとんど報じられていないが、それまで特に日本人の間では美徳とされていた大谷の金銭へのこだわりのなさが「逆にアダとなった」と指摘する声も、米紙「ニューヨーク・ポスト」の論客として知られるジョン・ヘイマン記者が論じたように米メディアやMLB関係者の中からは噴出している。