ティム・クックCEO(写真:ロイター/アフロ)

 米アップルは、同社の生成AI(人工知能)戦略について具体的な内容を年内に公表する方針だ。2024年2月28日に開いた株主総会でティム・クックCEO(最高経営責任者)が明らかにしたと、英ロイター通信米CNBCなどの海外メディアが報じた。

クック氏「AIに多額投資を行っている」

 クック氏は「生成AIには信じられないほどのブレークスルーがあり、現在我々はこの分野に多額の投資を行っている」と強調した。「(生成AIは)生産性や問題解決などにおいて、ユーザーにとって変革的な機会をもたらすと確信している。新たな境地を切り開く」と自信を示した。

 ロイター通信によれば、米マイクロソフトや米グーグルなどの競合企業が生成AIを製品に組み込むなか、アップルはこの分野で遅れを取っている。

 アップルの幹部はこれまでAI技術は製品の背後で動いていると説明してきたが、クック氏はこの日、「今年は具体的なニュースがある」と述べた。同氏のこれらの発言は、アップルが、生成AI技術の活用に積極的に取り組んでいることを示す最も明確なサインの1つだとCNBCは報じている。

これまでのアップル、多く語らず

 アップルはこれまでAIについて多くを語らなかった。ロイター通信によれば、アップルは23年6月に開催した年次開発者会議の基調講演で、「AI」という言葉を1度も使わなかった。同社は新たな製品やサービスにAI技術を忍ばせ、その利便性だけを説明した。必要に応じて、より専門的な「機械学習(マシンラーニング)」や「トランスフォーマー言語モデル」といった言葉を用いて機能を紹介していた。