2月26日、パリのエリゼ宮で、ウクライナ支持会議終了後の記者会見をするマクロン仏大統領(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 フランスのマクロン大統領がウクライナへの欧米軍派兵の可能性について言及し、大きな波紋を呼んでいる。その発言の真意はどこにあるのか。

 一方、プーチン大統領は、29日、年次教書演説を行い、ウクライナの戦場でロシア軍が主導権を握っていることを強調した。

パリでウクライナ支援会議

 2月26日、パリで、フランスはウクライナ支援会議を開いた。欧米の首脳や閣僚級が参加した。この会議は、2月16日のゼレンスキー大統領とマクロンの会談後に急遽開催が決まったのである。アメリカからの武器支援が途絶えつつある中で、ヨーロッパの支援継続に期待するゼレンスキーからの要望があったようである。ゼレンスキーもビデオリンクで会議に参加した。

 会議後の記者会見で、マクロンは、会議では、最優先課題として、ウクライナに向けて中長距離ミサイルや弾薬を共同調達する連合を創設することを決めたと明らかにした。

 ゼレンスキーによると、EUが約束した砲弾100万発のうち3割しか受け取っていないという。2月17日には、ロシア軍の猛攻を受けたウクライナ軍は、東部ドネツク州の要衝アウディーイウカから撤退した。その背景には、欧米からの武器弾薬支援の不足がある。

 ウクライナ軍の装備は、旧ソ連時代からの引き継ぎでソ連・ロシア製のものが多く、チェコなど東欧の旧ワルシャワ機構軍加盟国の弾薬が使用可能である。

 また、支援会議では、サイバー攻撃対策、ウクライナでの武器生産、ロシアの侵攻の脅威を受けるモルドバなどの防衛、ベラルーシ国境の防衛支援、地雷除去でも協力することが決まった。