自民党の裏金事件をきっかけとして、政治とカネの問題に国民から厳しい視線が注がれています。その関連でスポットが当たっているのが国庫から各政党に毎年支払われる「政党交付金」です。直近の2022年は総額315億3700万円に上りました。巨額の政党交付金は、何に使われているのでしょうか。なぜ、政党に公金を与えることになったのでしょうか。やさしく解説します。
全国民が1人250円を政党に与えている
政党交付金とは、政党助成法に基づいて各政党に毎年交付されるお金のことを指します(政党助成金と呼ぶこともあります)。各党へは年4回に分けて交付されますが、1年間の総額は近年、310億円余りでほぼ一定しています。
年によって総額が大きく変動するわけではありません。政党助成法の規定によって、総額は人口と250円を掛け算して出すと決まっているからです。算式は次のようになります。
250円 × 126,146,099人(2020年国勢調査人口)=31,536,525,000円
人口は直近の国勢調査による「総人口」を使います。つまり、幼児から高齢者までのすべての人の数に250円を乗じて算出するわけです。支持政党なしであっても絶対に賛同しない政党が交付対象になっていても、全国民が1人250円を政党に与えているとも言えます。
各党への分配額は国会議員の数などに応じて決められています。では、各党の受取金額はどの程度でしょうか。下の表で2022年の数字を見てみましょう。一番多いのは、自由民主党の159億8200万円、最も少ないのは同年の参院選から国政政党となった参政党の7700万円です。
一方、日本共産党はゼロ。同党はこれまで一度も政党交付金を受け取ったことがありません。その理由について共産党は「政党交付金は国民の税金の“山分け”であり、支持していない政党にも献金することを事実上強制するもの。国民には政党を支持する自由も支持しない自由もある。政党助成の仕組みは憲法が定める『思想及び信条の自由』を踏みにじっている」と説明しています。