「本物のアクティブ型」は絶滅危惧種

中野:しっかりと世の中に価値を提供できている会社は生き残りますし、そういう会社を選別して投資しているアクティブ型の資産運用会社もまた、浮上していくはずです。私たちは、それを目指しています。

 アクティブ型というと、単純にインデックス型の反対用語となっていますが、その内実はピンキリです。マーケットのタイミングだけを見て、「これから上がるのはこのジャンルだ」とか、トレンドだけを見て「大型だ、中小型だ」とかフラフラしているのだってアクティブ型です。

 そうではなくて、会社の本質的な価値を見定めて、一生懸命いい会社をできるだけ安く買って、一度買ったら長期的に保有し続けるというのがアクティブ型の王道です。アクティブ型の成績が悪いと言われるのは、パフォーマンスが悪いファンドにアクティブ型全体の平均値が引っ張られてしまっているからです。

 アクティブ型の王道をしっかりやっているファンドは本当に少なくなっています。だから、僕らが始めて、徹底的にやっていくんです。

澤上:もはや絶滅危惧種的な存在だよ。

「アクティブ運用の王道を徹底的に進む」と話す中野氏(写真:村田和聡)

──とはいえ、アクティブ型のファンドを選ぼうにも、投資する私たち個人は、過去の実績などわかりやすいことでしか、なかなか判断できません。

澤上先ほど少し話しましたが、残念ながら資産運用会社の多くは、短期的な運用成績をアピールしてはカネ集めに徹するマーケティング会社のような存在になってしまっています。本来は、そうした売り込みに惑わされないように、お客さん自身の人生観や投資哲学、あるいは生き方・価値観にそって、投資するファンドを選ばなければならないんですよ。

 そういう軸、ものさしをお客さん自身が持って初めて、「ここなら安心してお任せできる」と付き合う資産運用会社を選べるわけです。

中野:最近本屋に並んでいるNISA本などを見ても、そこをしっかり発信してくれている教科書はありませんよね。「どうやって選んだらいいですか」という質問をよく受けるのですが、その答えは「理念、フィロソフィーを見ることが一番大切」ということに勝るものはありません。

 もちろん、私も仕事柄、新NISAでつみたて投資枠をどう使ったらいいかといったアドバイスを求められることも多く、その際は具体的に世界株式への分散投資などをおすすめしたり、分配型はやめた方がいいと忠告したりします。ただ、やはりもっともお伝えしたいことは、理念やフィロソフィーに共感できる資産運用会社のファンドを選んでほしい、ということなんです。問題は、これまでそうした選択肢が、あまりにも少なかった、ということです。

 もっと真面目で、誠実で、情熱的な運用会社にもっと出てきてほしいと思います。