多くは「高技能・高学歴の持ち主で、高収入の英語圏の白人」

 アメリカの旅行情報会社「A Brother Abroad」が2022年に公表したリポートによると(以下、数字はすべて「約」)、国境を越えて活動するデジタルノマドは推計で3500万人、市場規模は7870億ドル(117兆円)に達しているとされています。1人あたりの年収は「5万〜10万ドル(750万〜1500万円)」と「10万〜25万ドル(1500万〜3700万円)」が多く、双方を合わせて7割近くになります。1人当たりの平均年収は11万9423ドル(約1783万円)とのことです。

図:米旅行情報会社「A Brother Abroad」のデータを基にフロントラインプレス作成
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 世界のデジタルノマド・コミュニティーを1つの国と仮定すると、人口はサウジアラビア(3690万人、世界40位)やペルー(3440万人、世界44位)などに並ぶ、かなりの規模です。1人あたりの1年間の国民総所得は、ポルトガル(2万3200ドル)、サウジアラビア(2万2840ドル)に次いで世界で38番目に豊かな国になります。

 デジタルノマドの76%は白人(ヨーロッパ系)です。それ以下はラテン系・ヒスパニック系(10%)、アジア系(8%)、アフリカ系(6%)の順でした。国籍はアメリカが最も多く、それにポルトガル、ドイツ、ブラジルを加えた上位4カ国で全体の半分を占めています。男女は半々。年代別では30代が46.5%と最も多く、以下、40代、50代と続きます。20代は13.9%にとどまっており、意外と少なく感じるかもしれません。高学歴の人が多いことも調査で明らかになっています。

 職業別のトップはマーケティング。これに、IT・ソフトウェア開発、デジタルデザイナー、作家・コピーライター、eコマースなどが続いています。滞在先ではメキシコの人気が高く、次いでタイ、ポルトガル。リゾート地を抱える温暖なエリアが選ばれているようで、日本は上位に登場しません。調査に答えたデジタルノマドは平均して6.1年も旅をしており、6割強が1カ所で3カ月〜6カ月も滞在していました。

「高技能・高学歴の持ち主で、高収入の英語圏の白人」。簡単まとめると、これが平均的なデジタルノマド像と言えるのではないでしょうか。