2022 FIFAワールドカップカタール大会で、予選グループで日本代表との対戦前に記者会見する中代表監督の李鉄2022 FIFAワールドカップカタール大会で、予選グループで日本代表との対戦前に記者会見する中国代表監督の李鉄(写真:新華社/共同通信イメージズ)

「退屈な番組ばかり…」と思いきや

 ここのところ、「中国のNHK」にあたる中国中央電視台(CCTV)が、さながら朝鮮中央テレビ(KCTV)と化していて、実に無味乾燥な報道が多い。

 例えば、夜7時から7時半のメインニュース番組『新聞聯播』(シンウェンリエンボー)は、だいたい最初の10分が、習近平総書記・国家主席がいかに「偉大な存在」かを伝える。最近はネタが尽きたのか、習氏が30年以上前に福建省に勤務していた頃の「偉業」まで発掘して、トップニュースで称えている。

 続く10分が、中国経済はいかに躍進しているか。マイクを向けられる工員も農民も経済学者も、皆、笑顔いっぱいだ。

 そしておしまいの10分が、中国以外の世界はいかに悲惨な危機に満ちているか。ウクライナ、中東、それに「敵国」アメリカで銃撃事件でも起ころうものなら、鬼の首でも取ったように、大仰に報道する。最近は、能登半島地震のニュースも多い。

 ただ私は、中国ウォッチャーを名乗っている手前、そんなニュースも追わないといけない。ああ、退屈!

 と思っていたら、あくびの止まる番組を見つけた。日本で言うなら「NHK特集」のような番組だ。タイトルは、『引き続き力を込めて深々と推進する 第4回 「三不腐」を一体になって推進する』。

 要は、「反腐敗キャンペーン」の4回シリーズ番組(各回1時間弱)の最終回だ。「三不腐」というのは、最近の「習近平語録」の一つで、「腐敗をしない、腐敗をできない、腐敗をしたくない」(不敢腐、不能腐、不想腐)という意味だ。