ベトナムのグエン・フー・チョン共産党書記長(2023年12月12日、写真:代表撮影/AP/アフロ)

(川島 博之:ベトナム・ビングループ、Martial Research & Management 主席経済顧問)

 ベトナムの最高指導者であるグエン・フー・チョン共産党書記長は、昨年(2023年)の12月26日に訪越した日本共産党の志位書記局長と面談して以来動静が不明になり、健康不安説が流れていた。

 ベトナム共産党臨時中央委員会の開催が延期され、かつ訪越したインドネシアのジョコ・ウィドド大統領との会見もキャンセルされたことから重病説が広がり、先週末には死亡説まで流れた。

 ところが1月15日に開催された国会の冒頭にチョン書記長が現れた。それを受けて国中が騒然となった。書記長は短時間で退席した。おそらくはインフルエンザだったのだろう。彼は現在79歳であり、2019年に脳梗塞を発症し回復したものの、左半身に麻痺が残る。そのために彼の動静が伝えられなくなると、すぐに重病説が拡散する。