1969年に開かれた九全大会・第9回中央委席上の毛沢東主席(写真:ゲッティ=共同通信社)
  • 毛沢東が生誕130周年を迎えた。記念イベントで中国の習近平国家主席は、毛沢東をかつてないほど礼賛した。
  • 中国共産党では個人崇拝は明確に禁じられている。だが、習近平は自らを神格化が進む毛沢東の後継者であると位置付け、自身への個人崇拝をなし崩し的に広めようとしているかに見える。
  • 毛沢東がなしえなかった「革命」の夢は「オレが実現する」とでも言わんばかりだが、足元では習近平の政治・経済運営の失敗が目立ちはじめている。毛沢東礼賛には自身への批判をかわす狙いもありそうだ。(JBpress)

(福島香織:ジャーナリスト)

 クリスマス翌日の12月26日は毛沢東の誕生日で、今年は毛沢東生誕130周年だった。これに合わせて、毛沢東同志生誕130年記念座談会が開催され、習近平が毛沢東評価の講話を発表した。この内容が10年前の毛沢東生誕120周年記念日のときの講話とかなり違っていると話題になっている。習近平は毛沢東について、新たに2つの評価を加えたのだ。

 その2つとは次の通りだ。

「中国社会主義現代化建設事業の偉大なる創始者」

「偉大なる国際主義者」

 これらの習近平による新たな評価は何を意味するのだろう。

毛沢東同志生誕130周年記念座談会で演説する習近平国家主席(写真:新華社/共同通信イメージズ)

「毛沢東同志は偉大なるマルクス主義者、偉大なる無産階級革命家、戦略家、理論家であり、マルクス主義の中国化の偉大なる開拓者であり、中国社会主義現代化建設事業の偉大なる創始者であり、近代以来の中国の偉大なる愛国者で民族英雄であり、党の第1代の中央指導集団の核心であり、中国人民の運命と国家の姿を徹底的に変えた時代の偉人であり、世界のために抑圧された民族を解放し、人類進歩の事業に対し、重大な貢献をした偉大なる国際主義者だ」

 習近平は毛沢東生誕130周年記念座談会の講話で、毛沢東をこう表現した。

 10年前の120周年記念のときは「毛沢東同志は偉大なるマルクス主義者、偉大なる無産階級革命家、戦略家、理論家であり、マルクス主義の中国化の偉大なる開拓者、近代以来の中国の偉大なる愛国者と民族英雄で、党の第1代の中央指導集団の核心であり、中国人民の徹底的な自己運命と国家の姿を改変するよう指導した時代の偉人だ」という表現にとどまった。

毛沢東同志生誕130周年記念座談会(写真:新華社/共同通信イメージズ)

 また、習近平の毛沢東に対する10年前の評価は「歴史人物に対する評価は、その時代と社会の歴史的条件に照らして分析されるべきであり、歴史的状況や歴史的プロセスの総合的理解や歴史的法則の科学的発展と切り離してはならず、歴史的必然性と歴史的偶然性との関係も無視してはならない。歴史の順当な環境の中で収められた成功は個人に帰するものではないし、歴史の逆境の中での挫折も個人のせいにはできない。今日の時代の条件や発展レベル、認識レベルで前人を推し量ったり、成果を求めたりはできないし、後世の人たちにしかできなかった業績を前人に要求することもできない」という表現で、毛沢東の文革の過ちを認めつつ、時代のせいだとエクスキューズするような言い回しがあった。

 だが毛沢東生誕の130周年の今年は、「毛沢東思想は我らが党の貴重な精神的財産であり、長期的に我々の行動を導いてくれた。毛沢東同志を最もよく記念するには、彼が始めた事業を継続して前へと推進させることだ」とポジティブな評価を全面的に打ち出した。