現在の中国における1人あたりGDPは1万2500ドルとなっており、しきい値を超えている。中国人の生活は劇的に変化しており、従来の中国とはまったく違う国になったと考えてよい。
ひるがえって東南アジア各国の1人あたりGDPは、マレーシアが1万3000ドル、タイが7600ドルとなっており、マレーシアはすでに中国並みの豊かさを実現し、タイが準先進国入りするのも時間の問題である。
ベトナムは4000ドル、フィリピンは3600ドル、インドネシアは4700ドルなので、1万ドルに到達するまでには少し時間がかかる。だが逆に言えば、1万ドルまでは青天井となる可能性が高く、当分の間、驚異的な成長を実現するだろう。
日本はインドネシアにも抜かされる?
今の議論はあくまでも1人あたりGDP、つまり社会の豊かさに関するものだが、東南アジア各国の脅威はそれだけではない。中国ほどではないにせよ東南アジア各国は人口が多く、GDPの絶対値も大規模になる可能性が高いのだ。
日本の人口は1億2500万人であり、相対的には人口が多い国である。日本が戦後、工業国として成長できた理由のひとつは人口の多さであり、低賃金を武器に大量生産を実現したことで先進国の仲間入りを果たした。ビジネスや外交において規模は重要であり、人口が多いことが強力な武器になるのは今の中国を見れば明らかだろう。