ソウルの冬は寒い。トゥクソム漢江公園に設置された雪そりゲレンデで遊ぶ子供たち(資料写真、出所:ソウル市ホームページ)

 在日コリアン3世の韓光勲(はん・かんふん)氏が30歳にして韓国に初留学。大阪で生まれ育ち、新聞記者として活躍した韓氏が、“異国”での体験と発見を綴る。(JBpress)

韓光勲:在日コリアン3世ライター)

 ソウルで日本人の友人とチムジルバンに行った。韓国式サウナ。炭で暖められた洞窟のような窯のチムジルバンだった。

 マイナス10度にもなった日。チムジルバンで暖を取っていると、おばちゃんたちに話しかけられた。僕が友達と日本語で話をしていたからだろう。「日本人も来ているんだね。日本人は静かだからいいね。韓国人や中国人はよくしゃべってうるさいけどね」と言われた。「そうですか。でも、チムジルバンにこんなに人が多いなんて知らなかったです」と、僕。「おお、韓国語うまいね」と言ってくれた。

 これが留学当初の僕だったら、「日本人」と思われたことや「韓国語うまいね」という発言には少なからずショックを受けていたと思う。日本人と思われることが嫌だという意味ではない。こんなに頑張って韓国語を勉強したのに、結局「韓国人」の仲間に入れてもらえないことに残念な気持ちがするのだ。

 でも、今は「日本人に思われるよね、普通に」と思う。これはそんなにショックを受けるようなことではないと思うようになった。例えば、日本で、韓国人の友達と韓国語を喋っていたら、当然のように韓国人に思われるだろう。それと同じだ。