旧ジャニーズ事務所の性加害問題で記者会見する東山紀之・井ノ原快彦両氏(10月2日、写真:ロイター/アフロ)

 旧ジャニーズ事務所(以下、旧ジャニーズ)が12月18日に新会社名を「STARTO ENTERTAINMENT」(以下、新会社)と発表した。

 同社公式サイトのトップページを見ると、「3つの新しいことに挑戦します」という文章とともに、「DX化」「グローバル展開」「メタバース市場参入」が掲げられており、どれも芸能事務所に限らず最近の大企業が掲げそうな方向性である。

 ただ、実際のところ、これら3つの方向性の中でも、最も地味に見える「DX化」が、今後の同社の成否を占うものになるだろう。

 その理由を今までの旧ジャニーズ事務所のビジネス構造と絡めて考察していきたい。

エージェント契約で打撃、音楽ビジネス

 新会社の会見でも明らかになった点としては、タレントとの契約方法として、従来からのマネージメント契約に加えてエージェント契約が新設されることである。

 従来のマネージメント契約ではタレントは芸能の仕事に専念し、他の仕事はすべて芸能事務所が担当していた。

 一方、エージェント契約ではタレント自身が会社を設立した上で(以下、タレント会社)、スケジュール管理や身の回りのことはすべてタレント会社が担当し、新会社はタレント会社のための仕事獲得とギャラ交渉を担当する。

 そして、エージェント制によって、最も打撃を受けるのが音楽ビジネスと予測される。

 どのような理由で新会社の収入に影響が生じるか。