即座に対応・決断を下した森井誠之球団社長

 いろいろ言われているが、この安楽問題については森井誠之球団社長ら楽天球団幹部の対応は非常に適切で早かったように思える。

 11月30日に行われた記者会見に出席した森井社長は自由契約となった安楽との来季再契約の可能性を否定。2025年以降の契約についても「0(%)という発言はできない」としながら「それをもって契約意思ありとは思っていただきたくない」とも念押ししている。

楽天・安楽智大投手のハラスメント疑惑を巡り、記者会見する森井誠之球団社長(左)=11月30日(写真:共同通信社)楽天・安楽智大投手のハラスメント疑惑を巡り、記者会見する森井誠之球団社長(左)=11月30日(写真:共同通信社)

 さすがに日本球界だけでなく世間全体にも衝撃を与えた大問題の当事者と、これから先にたとえ何年ブランクを空けようとも楽天が再び契約を交わすことはどう考えても、まずあり得ないだろう。

 ただ球団としては単に安楽を“トカゲの尻尾切り”で突き放すのではなく、どのように更生して社会復帰の道を踏み外すことなく歩んでいくか、そのプロセスを見守っていく責任がある。森井社長の会見の場での言い回しは、そうした背景を踏まえた上での発言だったと解釈できる。

 いずれにせよ、問題発覚から僅か5日で当事者の安楽に対して退団処分を下し、安楽が求めている、ハラスメントを受けた選手への謝罪についても、精神的な二次被害を与える可能性があるとして「直接連絡してはいけない」と伝えるなど、森井社長ら球団トップの動きは迅速だった。