米アマゾン・ドット・コムは、米国で展開していた衣料品の実店舗「Amazon Style(アマゾン・スタイル)」を2023年11月9日に閉鎖した。出店からわずか1年半で幕を下ろした。
初のアパレル実店舗、スマホアプリ利用の買い物体験
アマゾンは、22年5月に同社初のアパレル実店舗を米西部カリフォルニア州グレンデールに出店した。同年10月には、2号店を中西部オハイオ州コロンバスに出店した。これらはスマホのアプリを利用した買い物体験が特徴の店舗だった。ハンガーなどに取り付けられたQRコードを読み込むことで、サイズや色、評価などの商品情報を確認でき、希望の商品をタップすると、店員がそれらを試着室に運ぶ。試着室の準備ができるとアプリで知らせるというものだった。
アマゾンはウェブサイトの案内で、「Amazon Styleの閉店は、他の実店舗には影響を及ぼさない」とし、「顧客は店で販売されていたファッションブランドに加えて、さらに多くの商品をオンラインで購入できます」と説明した。
米CNBCによれば、アマゾンの広報担当者は「慎重に検討した結果、Amazon Styleを閉鎖し、オンラインのファッションショッピング体験に注力することを決めた」と述べた。その上で、「実店舗は私たちの重要な事業であり、食料品店ビジネスの拡大に投資を続けている」とも説明した。
実店舗事業、アマゾン全体の3.5%
だが、アマゾンの実店舗事業はいまのところ、成功しているとは言えないようだ。その規模が小さいからだ。傘下のスーパーマーケットチェーン「Whole Foods Market(ホールフーズ・マ ーケット)」はアマゾンが17年に137億ドル(約2兆円)で買収して以降、1兆6000億ドル(約240兆円)規模といわれる米食品・日用品市場で、当時恐れられていたような変化を起こすには至っていないと指摘されている。