この当時、ドジャースが属するナ・リーグにはDH制が敷かれておらず、その背景を争奪戦の“敗因”ととらえたカーショーは憎まれ口を覚悟で大谷への嫌悪感を露骨に示していたのだ。

大谷翔平との間にある”因縁”をもつメジャー最強左腕クレイトン・カーショー投手(写真:AP/アフロ)大谷翔平との間にある”因縁”をもつメジャー最強左腕クレイトン・カーショー投手(写真:AP/アフロ)

“因縁”は過去のもの

 そのカーショーはメジャー16年目の今季、13勝5敗、リーグ2位の防御率2.46という好成績を残した。だが今月に左肩の関節上腕靱帯(じんたい)と関節包の修復手術を受け、復帰は来夏までずれ込むとみられている。今オフに生え抜きとして一筋だったドジャースからFAとなったものの、自軍所属でFAとなる選手に規定額の来季契約を提示するクオリファイング・オファー(QO)も示されなかった。

 これによりMLB関係者の間では「オオタニ獲得を目指すドジャースにとってカーショーと再契約するならば、2人の関係性が大きなネックになるのではないか」ともささやかれていたが、どうやらその“懸案事項”も解消されそうだ。

「ドジャースはレジェンドのカーショーにQOを提示しなかった。その事実はカーショーよりもオオタニの獲得を優先順位として上に選んだということ。

 ただ、そのカーショーも実はオオタニとの過去の“トラブル”について『一体いつまでその話を引きずらなければいけないのか。もう何の問題もない』と言い切っている。過去にオオタニとバレロ氏の面談の場に参加していたテイラーもわざわざ東海岸から早朝発の『コースト・トゥ・コースト』の長距離便でロサンゼルスまで呼び出され、当時はカーショーともに激怒していたが『今ではいい思い出であり、笑い話だよ』と口にしている。

 とにかくカーショーを含めた『面談問題』はとっくに解決している。カーショーはドジャース退団の可能性が高まっているとはいえ、オオタニの間にももう因縁などない。これで晴れてドジャースは文字通り、総出でオオタニの獲得に動くことになるだろう」(MLB関係者)

 ドジャース・大谷は誕生するのか。それとも全く別の球団が“稀代のユニコーン”を電撃獲得することになるのか。日米の多くのファンがスーパースターの選択に注目している。