（写真：ロイター/アフロ）

　米アマゾン・ドット・コムがこのほど発表した2023年7～9月期の決算は、純利益が前年同期に比べ3.4倍の98億7900万ドル（約1兆4900億円）となり、21年10～12月期以来の高水準を達成した。

　主力のEC（電子商取引）事業が好調だったことに加え、これまで続けてきたコスト削減策が奏功したようだ。売上高は同13％増の1430億8300万ドル（約21兆5100億円）で、2四半期連続で2桁成長を達成した。

　売上高、利益ともに市場予想を上回ったことから、アマゾンの株価は決算発表日（23年10月26日）の米株式市場の時間外取引で5%超上昇した。

直営ネット通販7％増、出品者事業20％増

　事業別売上高を見ると、「直営のネット通販事業」が前年同期比7％増の572億6700万ドル（約8兆6100億円）で、前四半期の伸び率4％を上回った。外部出品者からの手数料や出品者向け物流サービス収入「サードパーティーセラーサービス」は同20％増の343億4200万ドル（約5兆1600億円）だった。

　また、有料プログラム「Prime（プライム）」の会費など「サブスクリプション（定額課金）」収入は、同14％増の101億7000万ドル（約1兆5300億円）。

広告収入、過去最高の120億ドル

　自社ECサイトやECアプリ内で展開する「ネット広告事業」の売上高は、過去最高の120億6000万ドル（約1兆8100億円）となり、前年同期から26％増加した。四半期広告収入の100億ドル超えは、2四半期連続となる。最近はアマゾンサイトで物販と広告を同時展開するほうが、販売効果が高いとみる小売業者が増えており、同社の広告事業が伸びている。

　アマゾンの四半期広告収入は22年10～12月期に116億ドルと、初めて100億ドルを上回り、23年1～3月期は95億ドルと、100億ドルに迫った。23年4～6月期には106億ドルと、再び大台に乗り、この23年7～9月期で過去最高を更新した。

クラウドの伸びは前四半期と同じ12％

　その一方で、クラウド事業「Amazon Web Services（AWS）」の売上高は同12％増の230億5900万ドル（約3兆4700億円）だった。この増収率は、過去最低を記録した前四半期と同じだった。