長らく東京と大阪にはさまれた「第3の都市」の座に甘んじてきた愛知県。自動車産業や航空宇宙産業が集まる世界有数の産業クラスターだが、「名古屋飛ばし」という言葉も生まれたように、東京や大阪で開催されるイベントが名古屋で開催されないということも過去にはあった。
もっとも、この十数年で都道府県GDP(国内総生産)は大阪に比肩するまでに拡大した。2024年10月に名古屋にオープンする国内最大のスタートアップ拠点「STATION Ai」や2025年夏の開業に向けて建設が進む「愛知国際アリーナ」、ジブリの世界観を凝縮した「ジブリパーク」など、イノベーションや文化・芸術面での愛知の魅力向上に向けた取り組みも進んでいる。
最近では、イスラエルや米テキサス州、ドイツ最大の州NWR州、フランス・パリ市やオーベルニュ・ローヌ・アルプ(AuRA)地域圏など、海外の国や自治体との連携も強化。知事自らが海外を回っている。愛知県が進めている戦略について、大村秀章知事に聞いた。(聞き手:細田孝宏、JBpress編集長)
◎前編「ジブリ、アリーナ、スタートアップ、「通過県」からの脱却が進む愛知改造計画」から読む
──世界的なスポーツ・音楽イベントの開催ができる愛知国際アリーナを含め、愛知県は文化芸術に注力している印象です。2022年にオープンしたジブリパークもそうです。ここに力を入れる理由は何でしょうか。
大村秀章知事(以下、大村氏):やっぱり、エキサイティングな街でなければ人は集まりませんからね。エキサイティングであるには、エンターテインメントの力は不可欠です。クリエイティブな人材を集めようと思ったら、コンサートやアート、スポーツといったエンタメは不可欠じゃないですか。
人間、刺激がないところには行きません。これまでお話ししたスタートアップ関連のプロジェクトも、ジブリパークも、愛知国際アリーナも、ぜんぶそのためのワンセットです。
ジブリパークは2022年11月に開業し、まもなく2期オープンを迎えます。2024年にはSTATION Aiがオープンする。
旧下山村・旧額田町(現豊田市・現岡崎市)にある「Toyota Technical Center Shimoyama」は、11本のテストコースがすべてでき、来年3月には研究棟もすべて整います。土地の造成はすべて県がやり、いまアクセス道路もどんどん作っています。彼らは従業員3000人規模と言っていますが、そんなもんじゃないでしょう。
そして、2025年には愛知国際アリーナの開業。2026年はスポーツのアジア大会の開催。刺激的なイベントが、このようにつながっていこうとしています。
──従来の愛知県には、そこまでの刺激がなかったとお感じですか。