(英フィナンシャル・タイムズ紙 2023年10月4日付)
中国経済の見通しにおいて、人口学的な要因はどれほどの役割を果たすのだろうか。これはもう、大きな役割になることは避けられない。
それどころか、中国経済の将来を決定づける最も重要なポイントの1つになるのは間違いない。
中国は相対的に貧しいため、労働者1人当たりの国内総生産(GDP)にはかなりの伸び代があるとしても、人口と労働力の縮小は経済全体の成長を鈍化させる。
では、そのことは中国の将来にとって何を意味するのだろうか。
いくら強大な国でも出産を強要できない
基本的な情報から見ていこう。
国連によれば、中国で女性1人が一生のうちに出産する子供の平均人数は、1950年代~60年代の6人から2000年代~10年代の1.7人へと急減している。
2020年代は今のところ1.2人で、韓国よりは多いものの日本を若干下回る。
その背景については、都市化の進展により、特に教育を受けた女性の間で子供を持ちたいという欲求が急激に低下したという説明が考えられる。
いわゆる一人っ子政策の廃止は低出生率への移行を加速させ、男女比の不均衡という大問題をもたらした。
米国勢調査局によれば、中国では2005年に新生児の男女比が118対100でピークに達した。
だが、いずれにしても出生率は低下していただろう。
中国がいかに強い国家であろうと、子供を持つことを望まない国民にそれを強制することはできない。