(英フィナンシャル・タイムズ紙 2023年9月27日付)

中国は庶民の可処分所得をドラスティックに上げなければ「日本の罠」に嵌る可能性が高い

 中国が比較的高い経済成長率を謳歌する時代は終わったのか。それが先週のコラムのテーマだった。

 その答えは、先週論じたように、中国はまだ比較的貧しいために世界トップクラスの豊かな国々の生活水準に追いつく潜在力は残っているというものだ。

 だが、これは必ず追いつくことを意味しない。

 中国は成功の継続を阻む大きな障害に直面している。今週のコラムでは、最も重要な障害の一つである「過少消費」を取り上げる。

 経済は自ずと完全雇用に傾きがちだという見方は、この20年間で退けられたはずだ。

 それどころか、過大な貯蓄性向は慢性的に不十分な需要しか生み出さない恐れがあり、その不足分は拡張的な財政・金融政策で補ってやらねばならない。

 ただし、そのような「解決策」はほかの問題を生む可能性がある。

 拙著『シフト&ショック』で2007~09年の世界金融危機について行った分析は、主にこの点に基づいていた。

 筆者はまた、日本経済の転落において過剰貯蓄が中心的な役割を果たしたことも指摘した。

 ユーロ圏危機ではドイツの過剰貯蓄が中心的な役割を担っていた。