アクティブ型で勝負する

 ただ、しっかりとした報酬を支払うには、資産運用会社はしっかりとした利益を上げなければなりません。資産運用会社の収入は顧客から得る信託報酬です。そのため、適正な信託報酬を得る必要があります。

 顧客にとっては、信託報酬はコストですから安いほうがいいですよね。資産運用会社としては、満足いただけるリターンを上げることで、適正な信託報酬をいただけるようにするしかありません。

 そのための施策の1つが、アクティブ運用にもっと取り組んでいくことだと思います。日本株のアクティブ・パッシブ比率を見ると、パッシブ運用が約7割にもなります。パッシブ運用とは日経平均やTOPIXといった株価指数に連動するもので、アクティブ運用とは投資する企業をファンドマネージャーが独自の基準で選別するものです。

(出所:金融庁「資産運用業高度化プログレスレポート2023」)(出所:金融庁「資産運用業高度化プログレスレポート2023」)
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 パッシブ型の投資信託は現在、信託報酬がほぼゼロに近づいており、大手の資産運用会社以外では十分に運用コストを賄えないような状況になっています。私たちが新たに設立したなかのアセットマネジメントが、パッシブを手掛けずにアクティブに絞るのはそのためです。信託報酬の安さでは勝負できません。

 当初設定する2本ファンドのうち、日本株ファンドは自社で運用します。一方、ファンドマネージャーなどのリソースが足りないため、外国株式に投資するファンドについては外部委託せざるを得ません。しかし、いずれは自社でグローバルのファンドも運用していくつもりです。そのために、優秀な人材を確保し、しっかりと育成していく方針です。

 適正な信託報酬に納得いただくには、運用成績で示すのはもちろんのこと、情報開示を徹底して信頼していただくことが欠かせません。そのため、現時点の構想では、自社で運用する日本株のファンドについては運用担当者の氏名や運用経験を開示することはもちろんのこと、投資しているすべての銘柄を常に開示してきたいと考えています。

 新NISAが始まり、資産運用への関心が社会的に高まれば、ファンドも厳しい目で選別されるようになります。新会社では、国内においてはまだ誰もやったことがないレベルの情報開示をしていき、選ばれるファンドを作っていきます。何のしがらみなくベストプラクティスを追求することで、皆さんの期待に応えていきたいと思います。