ファーウェイの中国におけるスマホシェアは20年半ばに29%あったが、2年後にわずか7%に低下。これに対し、アップルのシェアは9%から17%に上昇した。中国の高価格スマホ市場におけるアップルのシェアは22年までの3年間で51%から72%に上昇した。

 こうしたなか、ファーウェイが23年8月に発売した最新スマホ「Mate 60 Pro」には、比較的高性能の半導体が搭載されている。これは、米政府による禁輸措置以降、同社が半導体などの部品の自社開発を進めてきたからだとみられている。ウォール・ストリート・ジャーナルは「ファーウェイは高性能半導体に必要な技術に関して、米国の規制を回避する方法を見つけたようだ 」と報じている。

 Mate 60 Proに対する中国消費者の反応は良いという。ウェイボで「今年iPhoneからファーウェイに切り替えますか」というアンケートを実施したところ、約20万人の回答者のうち40%以上が「そうするだろう」と答えた。

 中国TFインターナショナル証券アナリストのミンチー・クオ氏によると、ファーウェイは23年下半期に最大600万台のMate 60 Proを出荷する可能性があるという。この台数は当初の予想より約20%多い。 クオ氏は、同モデルの累計出荷台数が発売から1年以内に1200万台を超えるとも予測している。

中国、アップルにとって世界最大の市場に

 ウォール・ストリート・ジャーナルは、ファーウェイの力強い復活が、アップルのトップの地位にリスクをもたらすと報じている。

 シンガポールに本部を置く調査会社カナリスによると、23年4~6月の中国スマホ市場における全出荷台数は、前年同期比5%減の6430万台だった。アップルは同国市場向けに1040万台のiPhoneを出荷し、同国3位のメーカーになった。

 一方、アップルの23年4~6月期売上高は817億9700万ドル(約11兆9500億円)で、このうちiPhoneの売上高は396億6900万ドル(約5兆8000億円)。全体の48%を占めた。同四半期のアップルの中国事業(香港、台湾含む)売上高は157億5800万ドル(約2兆3000億円)で、全体の19.3%を占めた。

 カナダの調査会社テックインサイツによると、出荷台数ベースで見ると、中国は23年4~6月に初めてアップルにとって世界最大の市場になった。同四半期のiPhone全出荷台数に占める中国向けの比率は24%で、米国向けの21%を上回った。