スマートフォンの需要が世界的に低迷するなか、米アップルは収益を伸ばすべく、プレミアムiPhoneの価格の限界に挑戦しようとしていると、米ウォール・ストリート・ジャーナルが報じている。
消費者をプレミアムモデルに誘導
アナリストによると、アップルが2023年9月12日(日本時間13日)に発表する予定の新端末「iPhone 15」は、一部のモデルの価格が最大100ドル引き上げられる可能性がある。一部のモデルとはプレミアム仕様の「Pro」で、これにはチタン製の筐体(きょうたい)や、改良・強化されたプロセッサー、カメラ機能が搭載されるとみられている。
消費者をプレミアムモデルに移行させるというアップルの戦略は、近年の同社の業績に驚異的な成果をもたらしたという。販売台数が横ばいでも、売上高と利益が大きく伸びたからだ。
アップルはスマホ市場が減速し始めた4年前に、より高価なProモデルを導入した。19年にiPhone 11で初のProモデルを市場投入し、ベースモデルよりも先進的なカメラシステムと優れたディスプレーを顧客に提供した。
このPro戦略は成功した。iPhoneの年間売上高は22会計年度に2055億ドル(約30兆3100億円)となり、19会計年度の1424億ドル(約21兆円)から44%増加した。
加えて、19会計年度から22会計年度までの間の純利益は約81%増加した。香港の調査会社カウンターポイントリサーチによれば、この期間のiPhoneの出荷台数はわずか15%しか伸びていない。これは、より多くの顧客がProモデルを選択したことによるものだとみられている。