- 英国のカスタマーサービスは昔から日本のレベルに遠く及ばないが、ここにきて劣化が激しく「1970年代の水準に逆戻り」との指摘が出ている。
- 8月28日に発生した英国航空管制システムの大規模障害では顧客へのずさんな対応がSNSやメディアを騒がせた。
- 英国の「まずいカスタマーサービス」による経済損失は1兆8000億円にも上るだろうとの試算も。(JBpress)
(楠 佳那子:フリー・テレビディレクター)
8月28日、夏休みの観光客などで賑わう欧州各地の空港で、英国航空管制システムの障害により多数の渡航者が足止めとなる事態に陥った。
英民間航空局(CAA)によるシステム障害の審査結果について伝えた9月6日付のガーディアン紙によれば、遅延や欠航などにより影響を受けた人の数は実に25万人に上る*1。2000便以上の欠航により、元々予約していた便で目的地に到達できなかった人たちが代替のフライトを確保するまで、数日かかったケースもあるという。
*1:UK air traffic failure blamed on ‘extremely rare’ circumstances as CAA opens inquiry(9月6日付、英ガーディアン)
この混乱で、多数の渡航者が欧州各地の空港での寝泊まりまで余儀なくされた。英朝刊紙メトロは空港の床に直に横たわる人々や、疲れ果てて待合所の椅子で居眠りする人たちの画像を掲載*2。「欠航について航空会社から何の連絡もない」「スタッフが未対応のまま空港ターミナルから消えてしまった」など、英航空各社に対する困惑や憤りの声を伝えている。
*2:Air traffic control chaos forcing passengers to sleep in airports for days(2023年8月30日付、英メトロ)
夏休み明けの職場や学校に戻れないなどという不測の事態に対する懸念はもちろんだが、BBCは8月29日の電子版で、心臓移植後の検査が受けられなくなるかもしれないと不安を訴えた英国人女性の悲痛な声を紹介するなど、事態の深刻さを詳報していた*3。
*3:英航空管制でシステム障害 国内外の空港で多数が足止め(2023年8月29日付、BBC日本語版ウェブサイト)