そこでラグビーファンの間でも不審がられているのは、なぜSOに山沢拓也(埼玉パナソニックワイルドナイツ)が呼ばれなかったのか、である。
サッカーも経験している山沢はキックもいいし、見る者の想像を超えるプレーを見せてくれるラグビー界の“ファンタジスタ”である。彼が事前合宿に呼ばれなかった時点で日本代表には選ばれないことは分かっていたが、それにしても残念である。選手選考の権利を持っているのはジェイミー・ジョセフHCで、彼の好みに合わなかったということなのかも知れないが、山沢がW杯に出場できないのはファンとしても悲しい。
ジェイミーHCはキックを重視する戦法を取る。だからなおさら山沢の正確なキックは日本の武器となると想像していただけに、「もったいない」の一言である。
注目すべき選手は
では日本代表で注目すべき選手は誰か。
今回のW杯でチームキャプテンを務めるFWの姫野和樹だ。タックルをされて倒された選手はボールを離さなければならないが、そのボールを奪う「ジャッカル」を姫野は得意としている。
ただ強化試合を見ていると、姫野は個人技でジャッカルに何度かトライしていたが、なかなか上手くいかなかった。ジャッカルを阻止しようと相手選手の集合が速かったのが大きな原因だが、姫野の体力をもってしても簡単にジャッカルできない時代になっている。ここをどう凌ぐかも、日本代表の得点に関わってくる。
予選リーグを突破できるか
4年前の2019年W杯は日本で開催され、ベスト8の準々決勝まで進出することができた。
今回はまずフランスでチリ、イングランド、サモア、アルゼンチンとの予選リーグを行い、上位2チームが決勝トーナメントに出場できる。決勝トーナメントに出場できるチームは全部で8つだ。
8月26日、W杯本番までの最後の強化試合となるイタリア戦が行われた。世界ランキング14位の日本代表が同13位のイタリア代表に勝てれば順調な仕上がりといえるだろうしし、負けてしまえばW杯に黄信号と言える。
結果は21対42の完敗、日本は無情な現実を突きつけられた。
イタリア代表は過去にW杯で予選リーグを突破したことがないチームであるが、「W杯優勝」を目標にしている日本代表にとっては大差で勝たなければならない相手だったハズ。しかしイージーとも言える場所からのペナルティキックをSOの松田や李が外すこともあった。やはりSOに不安が残る結果になってしまったのだ。
W杯本番に向けて選手たちには、前回のベスト8越えを目指して頑張って欲しい。今のところ、多くを期待ができないのが残念ではあるが。