南アに到着した習近平の姿に驚いた

 新華社(5日付)によれば、「習近平同志を核心とする党中央は断固として北京の洪水予防、災害救援の指揮を力強く行った」「習近平は8月1日、自ら指揮をとった」と報じていたので、北京、河北の大水害においては陣頭指揮を執っていたということになる。ならば習近平が指示を出している様子の写真やビデオぐらい中国国営中央テレビ(CCTV)に流れてもよさそうなものだが、それもなし。習近平チームの李強首相が現場入りした様子もない。

 かつてはこのレベルの大災害があれば、少なくとも首相は現場入りし、被災者や災害救援現場の話に耳を傾けたり、涙を浮かべたり、激励したりする様子をCCTVに報じさせ、「頑張っている感」を宣伝したものだ。

 北戴河会議が15日に終わり、習近平は17日に政治局常務委員会議を招集し、洪水災害後の再建工作を指示したが、その時も、写真や映像は出されずCCTVが記事を読み上げただけだ。

 恒大集団のニューヨークにおける突然の破産保護申請についても、多くのチャイナウォッチャーたちが、ここに習近平の意志はない、との見方を示していた。

 消息筋によれば、習近平は恒大に対しては、倒産することも認めず、かといって救済にも積極的でない放置状態が続いた。グループ内の新エネ自動車企業・恒大汽車の新株をアラブ首長国連邦資本の電気自動車(EV)メーカー・NWTNに引き受けてもらい、ニューヨークで破産保護申請を出すといった方策は、習近平指導部のアイデアではないという。

 習近平がメディアなどの前に、ようやくその姿を現したのは21日、南アフリカへの国事訪問とBRICS首脳会議出席のためにヨハネスブルクの空港に降り立ったときの短い映像ニュースだった。

ヨハネスブルクの空港に到着した習近平国家主席(提供:Yandisa Monakali/DIRCO/ロイター/アフロ)

 このとき、多くの人が驚いた。タラップを降りる姿が、あまりにも老いて憔悴していたからだ。そしてファーストレディ、彭麗媛も同行していなかった。出迎えにはラマポーザ大統領と、大統領第一夫人がそろっていたが、夫人がきょろきょろと見まわして、人を探したような様子をしていたところをみると、ひょっとすると彭麗媛が来ないのは想定外だったのではないか。