親の葬儀でお布施を値切るケースも聞くが…

 檀家寺とのやり取りは葬儀社の担当者に任せていた。すると、通夜の2日前に突然、「お寺さんから、お宅は100万円でお願いしますと言われました」と一方的に告げられた。

 通夜と葬儀での読経、30年以上前に亡くなった祖父母に合わせた院号の戒名への謝礼となるが、果たして100万円が適正なのかどうか、素人にはすぐには判断できない。

 しかし、葬儀社の担当者からは何ら助言がないばかりか、僧侶に配慮して式当日の寺から斎場への自家用車での送迎や弁当の用意を指示された。

「寺>遺族」という力関係をまざまざと見せつけられたようで、嫌な気持ちになった。

お布施の金額の妥当性はわかりにくい(写真:アフロ)

 筆者の故郷は決して豊かとは言えない農村だったため、葬儀では香典の額を抑えてお返しを辞退する「新生活運動」の風習が今も残る。新生活の香典は1000円や3000円が中心だ。だからこそ、100万円のお布施にはなおさら抵抗を感じてしまう。

 ちなみに、筆者の関西出身の友人には「親の葬儀で檀家寺へのお布施を値切った」という猛者がいる。こちらの事情を話して失礼のないよう交渉すれば、ディスカウントを受け入れてくれる寺もあるのだろう。

 したがって、本来なら寺と喪主が直接話をして、お互い納得の上でお布施を渡すのがいいように思う。