「定価があってないようなもの」「業者の言いなり」

 結果的に、斎場と火葬場の利用料が15万円、僧侶への謝礼が20万円となり、葬儀の費用はトータルでも50万円程度で済んだ。

 葬儀の費用は、葬儀自体の多様性もあり、同業他社と横並びの比較がしにくい。「定価があってないようなもの」「業者の言いなり」と、その不透明性がたびたび指摘されてきた。

 そうした中で義母が望んでいた「シンプルかつ適正な価格」での葬儀が執り行えて満足したと同時に、アンタッチャブルとされた業界にこういう葬儀社が出てきたことに新鮮な驚きを覚えた。

 義母の葬儀を経験して改めて解せないと感じたのが、昨夏、筆者の地元である群馬で行った実父の葬儀だ。コロナ禍ということもあり、こちらも親族10人あまりのこじんまりした家族葬になった。

 母の希望で地元の大手葬儀社に依頼した。半官半民的なカラーもあって、ディスカウントがない半面、棺や祭壇、供花などのグレードアップを強いられることもなかった。

 地方ゆえのおおらかさで、自宅に安置していた遺体のドライアイスの交換時間が大幅に遅れたり、届くはずの供花が届かなかったりしたが、これはまぁ許容範囲と言える。

 強烈な違和感を覚えたのは、檀家寺への謝礼だ。